第16章 命の宝庫へ
館内をある程度散策した後、
大水槽の前にあるベンチに並んで座り、
自動販売機で買った緑茶の入った
ペットボトルに、口をつける。
「それにしても、“携帯電話”はすごいな。」
エルヴィンは私の携帯を片手に、
大水槽に向かって画面を向けていた。
私はお茶を一口、胃の中へ流し込んだ後、
「カメラ機能のこと?」
と、エルヴィンに視線を向ける。
「ああ。すごく興味深い機能だよ。
本当にこの世界の技術は素晴らしい。」
私が褒められている訳ではないのに、
自然と嬉しい気持ちが込み上げた。
「さっきからずっと撮ってるもんね。
いい写真撮れた?」
「撮れたよ。」
エルヴィンは私に携帯電話を手渡すと、
ベンチから立ち上がり
大水槽に近付いてマアジの群れを、
目で追い始める。