第16章 命の宝庫へ
「……え。
そこまで本格的なデートなの?」
「なんだ。今日は俺の恋人に
なってくれるんじゃないのか?」
問いかけた筈が、すぐに問い返され、
少し考えた末、差し出された
エルヴィンの手をそっと握る。
「……こんな少しの面積が
触れ合っているだけなのに、
なかなか興奮するな。」
「ちょ……!な、何言ってんの!?」
エルヴィンの発言で、勢いよく顔に熱が集中し、
咄嗟に手を離そうとするが、
「凛。先に進むんだろう?」
と、満面の笑みを向けられ、
一気に抵抗する気が失せた。
「……ズルいよね、その笑顔は。」
「ん?」
「……いや、何でもない。」
エルヴィンの暖かい体温を肌に感じながら、
嬉しそうに水槽を見つめる
エルヴィンの横顔をそっと盗み見た。