第13章 他人の空似
商店街を散策した後、
その足で彼のいる博物館へ向かう。
「こんなに栄えているところで、
その彼は働いているのか?」
「うん。
結構有名な博物館で働いてるからね、
すごく優秀な人なんだよ。
……すごく変わってるけど……」
最後の一言は、自然と小声になる。
彼には昨日のうちに、
今の状況と今日行くことを電話で伝えているし、
きっと彼なら、
すんなりと二人を受け入れる気がした。
彼はそんな人だ。
博物館の前に着くと、
彼は既に入り口付近でうろうろと待ち構えていて
私の姿を見るなり、
猛スピードでこっちへ駆けてきた。