第12章 熱い視線の理由
「シートベルト。
これしないと、危ないからね。」
「……危ない?
そもそも、この動力は」
「ごめん、エルヴィン。
なかなか複雑だから説明できる気がしない……
そういう質問は、
今日会う私の幼馴染に聞いて。」
エルヴィンの言葉を遮ると、運転席に乗り込み、
シートベルトを締めてエンジンをかけた。
エンジン音と共に、
二人の身体が小さくビクつくのを
バックミラーで確認した後、
ゆっくり車を走り出させる。
きっと興奮するだろうと思って、
運転に支障が出ないように
二人共を後部座席に乗せたのだが、
反応がなく、少し不思議に思う。