第2章 突飛な覚悟
すると廊下の方から、
ガタガタと何かが揺れるような音がして、
反射的に廊下に目を向ける。
『どっかの窓、
開けっぱなしにしてたのかな……』
携帯電話を片手に、
恐る恐る音のする方へ向かうと、
“あの部屋”の前に辿りついた。
『……何で……?』
さっきまで僅かも動かなかったふすまが、
音を立てながら小刻みに揺れている。
咄嗟に隣の部屋のふすまを確認するが、
そっちは全く動いておらず、
揺れ動いているのは
“あの部屋”のふすまだけだった。
取り敢えずこの場は廊下を引き返し、
朝になって確認しようとも考えたが、
この揺らいだふすまをこのままにした状態で
朝まで眠れるとは到底思えず、
だからと言って助けを求められる
知り合いもいない。
色んな覚悟をする為に
この村に越して来た訳だが、
こんな突飛な覚悟をする羽目になるとは
思わなかった。