第10章 奔放な我慢
「理性を抑えるのは難しいな……
結局今、君を抱きしめてる。」
「……う、うん。そうだね。」
何と答えていいのか分からず、
取り敢えず頷く。
「だが、抱きしめると先に進みたくなるんだ。」
そう言ったエルヴィンの瞳が、
ゆっくり私を見下ろした。
「待って。これは冗談?」
「からかってもないし、冗談でもない。」
エルヴィンの顔が
ゆっくり近付いてきたところで、
再びエルヴィンの胸元に顔を伏せる。
「ちょ、ちょっと落ち着こうか。」
「……落ち着いたらキスしてもいいのか?」
何だ、この自由な提案は。
ひたすら返答に困る。
……いや、返答に困るのもダメなんだけど……
ここはキッパリ
拒否するべきところだ……