第12章 迷子の迷子の…!
「お兄さんは旅してたりするんですか?」
「あー…まぁそんなとこだな、嬢ちゃんは?」
「行く当てのない旅をしてます。今回は何となくここに来ようということできました」
そんなに話していて害を感じるわけでもなかったので話を続ける。そうしている間にも椿は戻ってくる様子がなく、少し不安に思っていた。なにかあったのではないか、いや、忍だったわけだし心配は無用なものか、と。
「連れの女ってのはまだ来ないみてぇだな」
「道に迷っちゃったんじゃないですかね…こんな人ごみだし。」
「そうかもな」
男はが心配そうな顔をしているのに気が付き、気にかけてくれたがはそんな事感じ取れずに探そうと立ち上がった。
すると男は立ち上がったの着物の裾を引っ張ってもう一度座りなおさせた。はムッとなってその男をにらみつける。
「何するんですかっ」
「ここでおとなしくしてた方がいいと思うぜ?連れだって必死にこっちの方へ来てるかもしれねぇ、入れ違いになったらそれこそ面倒になる、そうだろ?」
「…い、言われてみれば。」
は男と2人でおとなしく待っていることにした。
くだらない話をしているものの、男は自分の事について離そうとしなかった。年齢について聞けばもう忘れた、と。出身は何処かと聞けば聞いたって面白くない、そう言って逃げていくのだ。
離したくない事なら話さなくてもいいと思っているだったが、ここまで話してくれないとなんだかは自分の事ばかり話していて不公平な感じがした。
「ちょっとはお兄さんについて教えてくださいよ」
「俺興味でも出たのか?」
「ち、違いますけど!」
じゃあいいだろ?とまたかわされてしまった。もうこれは聞くのは無理だと判断したので仕方がなくは話をリードして進めていくことにした。