第11章 自立しないと。
その後すぐに宿に戻り、くつろいでいるともう夕方になり昼は子供で賑わっていた外の景色が大人色にすっかり変わっていた。
「こんなに違うんだね」
「ここを治めている伊達軍も相当むさ苦しいところですから、女を求めに来ているのでしょう」
「奥州来たことあるんだ」
「えぇ、任務で何回か。」
そういえば忍だったっけ、とは思いだし、部屋から見える外の景色をのんびりと見ていた。
夕暮れに染まる町は昼間とは違う顔を持ち、まるで生きているかのように表情を変えていた。日が落ちると同時に電気では表せない淡い火の明かりがちらほらと道にそって付き始め、月明かりと同化して町を照らしていた。
夕食は宿で食べ、寝るまでに時間があったのでずっと外を眺めていた。
「…外、行きます?」
「えっ、いいの?」
昼間の話では夜の外出は危険だと椿に言われていたのだ。どんな夜盗がいるかわからないし、宿の荷物がとられてしまう可能性だってある。だが椿は出たそうにしているを見て気を使ってくれたのだ。
「行ってみたい!」
「では行きましょう、大切なものは必ず持って行ってくださいね!」
椿も奥州の夜の街を堂々と歩くのは初めてらしく、少しうきうきしているようにも見えた。
は携帯と双眼鏡、それと信玄からもらった短刀を潜ませて夜の街へと椿と2人で出て行った。
「おおっなんか昼間よりも賑やかな気がする」
「ほら、あそこのなんだか話しかけにくそうな男たちがいるでしょう?あれは伊達軍です。近寄らない方がいいですよ」
にこーっと笑う椿のその笑顔はなんだか黒っぽくて全力では首を縦に振った。