第1章 日常⇒非日常
「こんな遅くに何をしてるのかなぁ?」
「おおおおおおおおおお?!!」
女らしくない声を上げて後ろを振り返ると6人ほどのむさ苦しい男の集団がいた。初めて見るにもわかった。
これは、ヤバい、山賊だ。と。
「や、あの、みっ道に迷ってしまってですね」
「じゃあ俺等が案内するぜ?」
結構ですと断ろうとキャリーバッグに手を伸ばして抱え込み、逃げようと体勢を立て直すも回り込んでいた男に腕を掴まれて逃げ出すことはかなわなかった。
「ほら、そんな怯えんなって」
「い、やぁ…ほらその…わ、悪いですし」
「良心だって。いいよいいよ」
そうは言いながらも近付いて来る様はまるで本物の狼で、獲物を見つけたからには逃すまいと威嚇しているようだった。
は6人の男性からはさすがに逃げたことはないし、学年選抜リレーにだって出たことはあるが男性にはかなう訳がない。
「ていうか何処の奴だァ?見たことねぇ」
「こんなうっすい着物のくのいちも見たことがないな」
そりゃくのいちじゃないですからねーと心の中でツンっとしていると先ほど腕を掴んできた男がを担ぎあげた
「ちょちょちょ重いから!おおおおおおろしてください!」
「足もほせぇし、こいつちゃんと食ってるのか?」
「あっつ、連れていくならその荷物も!違う、そう持つんじゃなくて!」
バタバタしながら冷静に荷物の持ち方を指導する。
だが彼女は
誘拐なうのハズだ。