第6章 馴染むって決めたんです
その後と小山田は宴に参加をし、重臣しかいないということで先人の世について詳しく話をした。
日本の端から端まで一日で行ける話、遠くの相手と簡単に話ができる道具の話、家事全般は機械が大体やってくれる話。全てにおいて興味深そうに聞いており、みんな羨ましそうにしているというより、誇らしそうにしていた。
「私達がそんな世につなげたと思うと楽しくなってきますねェ」
「確かに!この戦乱も大切なことだったんだな」
士気が上がるのを目に見えて感じられた。
「よ」
「はい」
宴が終わり、ぞろぞろと寝床に付くものが出てきたころ、ようやく片づけを終わらせた女中と一緒に駄弁っていると信玄に呼び出しをされてそのまま自室に連れていかれた。
「今宵はとても良い話を聞かせてもらった」
「い、いえ、私にできるのはこれくらいですから」
とても照れ臭かったが信玄は真面目に褒めていてくれたので素直にお礼を言った。
「して、幸村から話は聞いたか?」
「…あぁ、真田さん付きの女中みたいなのになる…とかなんとか」
よく考えてみれば細かい指示などは受けていない。
女中みたいな事をするのかとあの時佐助に質問したがやらなくていいと言われたし、そうでなければが付く意味が分からない。
きっとこうやっている間だって幸村は女中に寝床の準備を頼んでいるだろうし、朝起きるのも専属でなくとも女中がおこしに行くだろう。
そう考えていると信玄は
「幸村の近くにいてやってくれ」
とだけ言った。
は夫婦でもないのに、と思った。近くにいるだけで一体何をすればいいのか全く分からない。世話をしないでいい、ただ話し相手になれとでもいうのだろうか?それだけでは貢献した気にならないと講義を立てようかと思ったとき
「幸村は初心でな、のようなおなごと共におれば慣れるのではないかと思ったのじゃ」
そういうとまたわしわしとの頭をなでた。