第4章 適応能力は低いほうです
「目、覚めたんだ。」
背後に誰かが立つ音が聞こえ、振り返るとそこには佐助が立って不満そうに腕を組んでいた。
まるで異端者を見ているような冷めた目で、そして受け入れないと言っているような顔でを見つめていた。
はわかっていた。この武田軍でも最初に突破すべきはこの佐助からの信用を得るということだ。しかも嘘をついてはすぐに見破られてしまうので嘘なんてつけないのが大体の決まりだろう。相手は忍、しかも相当優秀な。
「…どうも、お久しぶりです」
「あの時の子だよね、お礼は言っとくよ」
多分小山田を助けたことに関してだろう。だが全然お礼を言うような態度ではないことに本人は気づいていないのだろうか。人をイラつかせるのが得意なのだろうか。
「…っ、し、失礼いたします」
ようやくこっちに意識が戻ってきたのかはっとした顔をしてあわてて出て行ってしまった。唯一の癒しの存在に出ていかれてはこのイラつきが爆発しそうで自身少しだけ焦った。
「…猿飛佐助さん、ですよね」
「へぇ、俺様のこと知ってるんだ」
「まぁ有名ですし」
どう心を開くか、信用を得るか。こんなにも人間が扱いにくいだなんて今までは感じたことがなかった。
それに画面越しの佐助とこう対面してみると身長差もかなりあるし、体格だってしっかりとしていて、直接は見えていないがあの迷彩服の下にはしなやかな筋肉が付いているんだ。
異次元とはいえ男女差は確実にある。
「悪いね小山田の兄さん、ちょっと二人で話したいんだ」
「…では」
少し心配そうな顔をして小山田は出て行った。
は意味が分からないというような顔をして出て行ったほうを見つめていた。何故二人きりにされたのかわからないというのもそうだし、何故殺気がこんな戦にも出たことのない小娘にわかるまでにも全開にしている人間と二人きりにさせたのか。
小山田は死ねと言っているのかとこの時ばかりはは初めて心から後で覚えとけよ、と思った。