第21章 目に見えた希望が
「なッ何の音だ!」
轟音が響き渡り、それは幸村達も驚くほどに土煙が舞い上がった。
「炎…明智軍にそんな奴ァいたか?」
「いえ、聞いておりません」
幸村達にはまだ何が起こっているのかわからず、すぐに確認しに行った佐助の報告を待つほかなかった。今迄なんの行動も示さなかった明智軍が突然なにかと交戦を繰り広げるなど、奇襲の他考えられない。
「旦那!」
「どうであった?!」
「長曾我部元親だ!鬼の旦那が明智と!」
「何ッ」
佐助の報告にの名前は上がらなかったが、幸村にはすぐにわかった。きっと元親はを攫いに来たんだろうと。
その時嫌な感じがし、馬にまたがる。
「ちょ、どこに」
「決まっておろう、殿を救い出す」
「無謀だってのは分かってる?!」
「そのような事は承知の上だ!!」
かかれ!!と幸村が槍を振りかざせば、待機していた足軽達が合図とともに駆け出して行った。もうこれでは誰がとめようにも戦は収まらないだろう。
政宗も馬に跨り戦の合図を示せば伊達軍も動き始める。
「どうか、ご無事で…ッ!!」
幸村は六文銭を握りしめ深呼吸をしてから、屋敷へと乗り込んでいった。