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オンナナレさせてみせますから

第19章 恐怖でしかない



「敵は少数、明智光秀を筆頭とし馬でこちらに向かっているとの事です」

「忍隊はすぐに罠の確認、東より来ている明智を迎え撃つはお前達の役目だ!」

小山田の指示する大きな声が聞こえ、はかぶっている着物をぎゅっと握りしめた。
もしここで小山田がいなくなってしまったら誰に頼って生きていればいいかわからなかった。

「小山田殿!予想よりも早くこちらに向かっております!罠も追いつきません!」

「門の内側に引かせ、明智が来ると同時に総攻撃ができるよう弓兵を固めて置け!」

それほど緊迫した状態なのか、とは慌てだす兵を見て震える。ここでもし死んでしまったらどうすればいいんだろうか。そもそも明智の目的は何なのか。それがさっぱりわからなかった。
楯無の鎧を狙っているなんて話は聞いたことがないし、小山田を狙いに来るようなヤツではないはずだ。もし殺りにくるならば直接総大将の信玄を狙うか、大きい戦力を持つ幸村を狙うだろう。
それをせずに此方に来るとは、明智は、織田は何を狙っているのか。



ドォォオンッ!!!

激しい爆風が館内まで吹き込み、すこしは咳き込む。
何があったのかと目を開ければ、目の前には足軽が転がり込んできていた。その足軽は腕をケガしていて、血がとめどなくあふれている。

「なっ…大丈夫、ですかっ?!」

「駄目、です、様ぁッ…!!」

何を言い出すのかと耳を傾ければ、

「明智は、あなた様を」

私を狙っているのか、とは持っていたハンカチをそのケガした足軽の腕に巻き付けてお礼を言ってもっと奥の部屋に逃げた。

「なんでっなんで私を、おかしい、なんでッ?!」

独り言をぶつぶついいながらかぶっている着物を投げ捨て、小さな部屋に逃げ込む。
膝を抱えて、この鳴り響く鉄砲の音が鳴りやむまで息をひそめる。





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