第15章 恋しい気持ち
「もしかして、恋しくなったとかだろ」
「よくわかりましたね」
「アンタの顔見てれば分かる。」
「まぁ親好きですからね」
そう言えば政宗はじーっとを見つめた。
何をしているのかわからないがはなんだかうずうずしてしまい、その場で立ち上がった。途端に居心地が悪いと感じたのだ。
「どうした?」
「い、いえ、なんでも」
見上げてくる政宗の顔を見ずに空をずっとみている。今は顔を合わせてはいけないような気がすると意識を必死にどこかへ散らしてしまおうと思っていた。
それを感じ取ったのか否か、政宗も真横で立ち上がり、同じように空を見上げた。
「…こっちに来て泣いたことないんじゃねぇか?」
「そんな事ありませんよ、何度か泣いてます。」
「いや、声を上げて大泣きしたことあるかって俺は聞いてるんだ」
こんな歳になって、と政宗に自重気味に話しかけようとして横を向くと、政宗はすでにを見下ろしていた。
ハッとして顔をそらそうとすると顔に手を添えられてしまい、顔事どこかへ向けるということはできなくなってしまった。
「泣け」
「…そんな簡単に泣けませんもん」
「我慢するなって言ってるんだ」
そういえば薫にも言われた気がする、と思い出す。
我慢しすぎ、泣いていいんだ、ため込まないで、そういわれていた。
には自覚がなかったが、無意識のうちに辛いことを隠してしまっているようだ。それが癖なので今更治せなんて言われても無理な話だが、今は政宗に笑ってごまかす事しかできなかった。