第14章 母親の声が
「…っ、大丈夫、凄くよくしてもらってるから、平気だよ」
『なら、いいわ、もう…アンタは何言っても聞かないし…』
そう言ったところで後ろで物音がしたのに気が付いた。
椿かと思って振り返ると、変な顔をした政宗が腕を組んでを見ていた。
「…アンタ、何独り言を…」
「えっ、あ…」
電話を構えながらどもっていると母親の心配そうな声が聞こえてきた。の声色がおかしくなったのを感じ取ったのだろう。
「こ、これは…その…あ、お母さん、あの…伊達さんがいて…」
『は?はやく代わって、喋りたい』
行き成り母親の声が真面目な声に代わって何を話すのかとても気になったが、政宗はそれをみてなんだかそわそわしているし母親も話したそうにしているので、簡単に政宗に携帯電話の説明をして手渡した。
「…っ、こ、声が聞こえるぜ」
「そういうもんなんです」
会話が途切れたら声をかけてくれと政宗に言ってはその部屋を出た。
自分の母親と戦国武将が話しているなど可笑しなことだが今置かれている状況を考えればなんてことないんだろうと感じた。
「…薫、長く、なりそうだよ」
部屋から出たそこはとても景色が綺麗なところだった。
庭ではなく外がよく見える。栄えている町がよく見える。今、ここで誰もが奮闘し、努力をし続け生きているのだと考えればは自身がやれることをやるべきだと考えた。
「…、政宗様がどこに行ったか知らねぇか?」
「あぁ、伊達さんなら私の部屋で電話してますよ」
先程の説明の時に電話の話は出していたのでそうか、と戸惑いながらも返事をしていたが、暫くの横でぼうっとしていると急に目を見開いて
「誰とだ?!」
と聞いてきた。
はその様子に驚きながらも
「わ、私の母とです」
と震える声で答えた。