第8章 ヤキモチ
「カコ…さん?」
状況がわからないといったように
モブリットが名前を呼ぶ。
「モブリット最近ハンジハンジしか言わない。」
イライラしているせいか、
感情は伝わってくるものの
話が伝わってこない。
「あ、あの、私が多分悪いから!
カコ、ごめんね?
私がモブリットに頼りすぎてるんだよね!」
張り詰めた空気に耐えられなくなったハンジが
どうにかフォローを試みる。
「いや、もういいよ。別に。」
「カコ、今は会議中だ。
お前達は公私混同しないものだと思って安心していたが、
そうじゃないなら
俺からも口出ししなければいけなくなる。」
何を言っても聞く耳を持たない雰囲気のカコに、
エルヴィンが釘を刺した。
「……ごめんなさい。」
渋々、といったところではあるが、
カコは下唇を噛み締め、
眉間に皺を寄せたまま静かに椅子に座り直した。