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モブリットと妄想日記

第13章 雨音



「初めて、
壁の外に出たことを
思い出すの。」

「うん。」


別に
モブリットに何かを訴えて
この気持ちが変わるわけではない。

そんなことは
わかっているのだけれど、
途切れながらも
自然と言葉が零れた。


「あの時の私は弱くて、
なのに、生きてて、
周りの人は
いなくなってて、」


私の
気持ちを察してなのか、
重なっていた
モブリットの手に
ギュッと力がこもった。


「そんな
昔のことを思い出すから、
雨は嫌い。」

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