第12章 夏の風物詩
「あーあ…」
「モブリットどうしたの?」
モブリットが何かに
気づいたように
落胆した声をあげる。
「また蚊に食われたみたい。」
ほら、と
突き出された腕を見ると
痒そうに腫れている箇所があった。
「ん?
ここも刺されてない?」
モブリットから
見えにくいような所にも
また赤い腫れを見つけた。
「え、嘘。」
モブリットは
少し無理やりめに
腕を捻り、
カコが指し示した所を覗く。
「うっわ…本当だ…
気付いたら痒くなってきた。」
モブリットは
掻きたい衝動を抑え、
グッと腫れを圧して抵抗していた。