第11章 熱
「あ、でも仕事の弊害にならない程度にね?」
普段の私が
全力でモブリットの仕事を
妨害しているのを
思い出したのか、
とってつけたように
一言加えられた。
「えー、物足りない。」
「それは2人の時だけにして。」
それ、が何を指すのかは
明確ではないが、
ニュアンスで伝わった。
「俺だって自慢したいんだよ。」
「自慢?」
「カコがこんなに可愛いんだって。」
涼しい顔でサラッとそう言ったモブリットとは逆に、
思わぬ発言に
私の顔は熱くなる。
「え、あ!違う!
いや、違わないんだけど!」
私の表情に気付いた途端、
何故かモブリットも赤くなって慌て出した。
そうか、天然で発言したのか。
「モブリット、タオル欲しい。」
わざとらしく腕に顔をうずめながら、
まだほんのり冷たいままの
タオルをモブリットに突きつけた。