第2章 伸ばした手が触れる残像。
俺の世界の全てが止まったかと思った。
頭が真っ白になって、流れていた涙も止まった。
「悠…俺は、お前のことがずっと好きだったよ」
ずっと…?
ずっと……?
ふ、と笑う拓真の顔は今まで見た何よりも綺麗で…。
「…っ、ばっかやろ…」
止まっていた涙がまたボロボロと零れ落ちるまま、俺は拓真に抱きついた。
この温もりが…この匂いが…現実だと言ってくれる。
こんな幸せな事があっていいのか。
神様…今日ばかりは貴方を信じます。
声をあげて泣く俺の背中を優しく撫でる拓真の腕。
指先で俺の涙を拭って、ゆっくりと重ねられた唇は離れていた隙間を埋める様にぴったりと重なった。
「んっ…」
何度も互いを確かめるように重ねて…また離れて。
もう言葉はいらない。
深く…深くー…。
“…好き。…お前が好きだよ…”
そうしてどちらからともなく呟いた。
【END】