第3章 時には昔を思い出そうか
佐「瑠維さん?」
その声で自我を取り戻した。
今のはなに?
私の中で誰かが囁いたように…
佐「瑠維さん!?」
つぅっと伝った生温かいもの。
口の中が鉄の味でいっぱいになる。
内蔵が締め付けられるように痛む。
湧き上がってきた吐き気に堪えられず、思い切り吐き出した。
それは確かに
真っ赤な血。
吐血したんだ。
でも、怪我はしていないはず。
なら、どうして?
考えようとするが、頭が回らない。
ただ、斬られたような痛みじゃない。
内側から何かに蝕まれているような痛み。
抗えない。
佐々木の呼ぶ声が遠ざかる。
視界が真っ白に染まる。
フェードアウトするように
私の意識は消えた。