第17章 兵長を驚かせ隊
箱の中身を一瞥した兵長は即座に一言。
「今付ける必要ねぇだろ」
もちろん、照れ隠し。
そこでエルドさんが声を上げる。
「仕立て屋に頼んで兵長のイニシャルを刺繍してもらったんです」
ほら。
そう言わんばかりに小箱を持ち上げたエルドさんの笑顔。キラキラの目で己を見つめる部下達。
これはもう折れてやるしかないな。
兵長はそんな意味を込めて小さく息をついた。
シュル…ッ
兵長の首に真っ白な布が巻かれていく。
繊細な手捌き。
僅かに聞こえる衣擦れの音。
リヴァイ班の面々はドキドキと高鳴る胸を抑えつつ、その光景に見惚れている。
「……満足か?」
背もたれに片腕をかけて斜に構えた兵長。彼の首には真新しいクラバットが巻かれていた。