第9章 あんま他のツンデレと仲良くしてんじゃねーぞ
大分遠回りしてしまったが、カインはようやく近衛隊の寄宿舎に到着した。
ハンスに寄宿舎の一室を用意してもらい、荷物を入れた。
「今日はもう遅い。カインの事は、明日皆に紹介するとして、今夜はゆっくりと休むといい」
ハンスは荷物を下ろしながら、そうカインを労った。
「おー……ハンス、色々ありがと」
カインは一応ハンスにはお礼をするべきだと思い、改まってハンスに向き合った。
「ん……?今はずいぶん素直なんだな」
ハンスは優しくカインを見つめると、頬に手を当ててきた。
「なっ……別にそんなんじゃ……っ、てか何触って…っ」
カインは自分の顔が赤くなっていくのがわかった。
「今だけ触れさせてくれ」
ハンスはまるで壊れ物を触るように、カインに優しく触れてくる。
「…………」
「…………」
お互いに無言のまま見つめ合い、そして、とうとう自然に口唇が合わさった。