第8章 帰ろう、皆で…
稟を追い掛ける為、ひたすら3人は彼女が行ったと思われる方向へと走っていた。その時、遠くの方から叫び声が聞こえる。叫び声の正体は、稟だと分かる。
なんで、騒いでいるのかは未だ不明だ。やがて、広い場所に着くと其処には、全身が震えている稟の姿がった。
床に座り、稟の泣き声が3人の耳に入ってくる。蓮が、稟の傍まで近寄り優しく声を掛ける。
「なぁ、稟……。これが、お前の望んだ事か??」
「──う、……違うよ………。ただ私は………。」
弱々しい稟の声が聞こえてくる。これではっきりした事だ。稟は、元々こういう事を望んで行動起こした訳ではない。
「それに、私は優稀に酷い事をしちゃった。生きてちゃ…いけないんだよ。」
その言葉を聞いた、香李は喉の奥のほうで詰まらす。声を掛けたくても掛けられない。その時、優稀は、鈴蘭…と彼女の名前を呼ぶ。ビクッ!と肩を震わせ…優稀の方を見る。
「確かに、色んな事があったが、君が望んだ事じゃないなら、僕は許すよ。だから、帰ろう。今まで通り、皆で楽しく過ごすんだ。」
「……う、ん……。ごめんね………ごめんね………。」
稟は、その後ずっと謝り続けていた。その謝っているとき、香李は彼女を優しく抱き締めていて、その香李も静かに涙を流していた。
その後、その地下室から出て、空は夕方となっていたが、なんとか無事に帰ったのだ。
稟の話によれば、無意識にこの村まで着ていて、色々と準備をしていたらしい。しかし、やっぱりその時の記憶は曖昧なものだった。
そして、稟と蓮の父親は、既に亡くなっているらしく、あのロボットは亡くなる前に作った物だ、という。