第5章 過去………
蓮は、稟の言葉を塞ぐように言う。不気味な笑みを浮かべて頷く稟。その様子から、2人とも顔色が変わった。
「な、なんで、そんな事をするの!?」
「何デダト、思ウ~??」
質問を質問で返される。香李は、必死に頭を回転させるが何も思いつかない。いや、心当たりがないと言うべきなのだ。香李は、突然の不安と恐怖に、手が震え奥歯はカチカチと震えていた。
「分からねぇな…。殺す理由が……。殺しておいて、何にも得る物がねぇぞ?それどころか…失うだけだぞ?」
蓮は、稟の説得をするつもりなのか喋り始める。見た目は冷静に話しているつもりだが、彼の声はとても震えていた。無理もない話だ。下手をすれば殺されてしまうのだから。稟は、顔を俯かせていた。
「なぁ……稟…。お前は─────」
「五月蝿イッ!!!!!!!!」
稟が、荒々しく声を張り上げるのだった。
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