第4章 去年の今頃
「去年の今頃はまさかゆめちゃんが理系クラスに進むとは思わなかったな」
「そうなんだ。わたし去年の今頃は…たぶん何も考えてなかったな」
私たちは机にそれぞれ別の教科書とノートを広げて勉強する。
それでも一緒にやるとやっぱり楽しい。
「わたし難しいこと考えるの苦手だから公式とかでパパッと答えが出る理系の方が向いてるみたい」
私がそう言うと逢坂くんはちょっと笑った。
「パパッと答えが出るとは思えないけど…。まあ向いてるんだろうね」
「一緒の大学に行けるように頑張るね」
彼の顔を見て私がそう言うと、彼はちょっとマジメな顔でこう言った。
「僕も頑張らないと。置いていかれないように」
「ふふ…まさかぁ」
私は笑いながら再びノートに目を戻した。