第1章 足の不自由な2人
リアはリヴァイが部屋を出ていくのを見届けると、そのままベッドへ倒れこんだ。
正直嬉しい。
幼い頃は外出することはなかったが、兵団に入ってからは事情を知るエルヴィンが何度か機会をくれていた。そしてあの日からは、1人の時に記憶が混乱すれば危険だからと外出はさせてもらえず、自室に籠もることがほとんどだった。
この胸のドキドキは嬉しさなのか、リヴァイさんに誘われたからなのか…。
明日何着ていこう…。
リアは布団に顔を埋めて笑っていた。
同時刻、リヴァイは廊下を進んでいた。バンッと力強く扉を開ける。
「…ノックをしてくれ、リヴァイ。心臓に悪い。」
部屋の中には目を丸くしたエルヴィンがいた。リヴァイは団長室を訪れていたのだ。
「明日する予定の書類を全て渡せ。」
「…正気か?今日の分もまだだろう。」
「俺が狂っているように見えるのか?」
「いや…正気なのはわかった。しかし、少々無謀だ。明日なにかあるのか?」
「ならば早く用意しろ。それと…リアを明日一日借りる。」
エルヴィンはなるほどと微笑んだ。
「足は大丈夫なのか。それと、何かあった時のために遠出はするなよ。」
「あぁ。わかっている。」
そう言うと、リヴァイは積み重なった書類を抱え、よろけながら部屋を後にした。
まだ少し足を引きずっているようだ…。
エルヴィンは両手で顔を覆うとため息をついた。
「私もあれぐらい素直に慣れたらな。」