第12章 策士の思惑
その頃、エルヴィンの部屋では
ハンジとモブリットがソファーに並んで座り、
書類を書いていた。
「それにしてもエルヴィン、
なかなか回りくどいことするよね。」
「それは俺を褒めてるのか?」
「褒めてるように聞こえる?」
ハンジはソファーの傍らに立つ、
エルヴィンの顔を覗き込んだ。
「だが、あの手段を取ったからこそ、
ミケは自然と素直になれたじゃないか。」
「エルヴィンは、相変わらず
博打を打つのが好きだよね……
もしミケがそのまま何も言わず立ち去ったら、
どうするつもりだったの?」
「そんなことはまずないと思っていたからな。」
エルヴィンのその答えに、
ハンジは思わず吹き出す。