第10章 弾かれたように
「お前と俺を一緒にするな。
俺は純粋に片思いをしているつもりだが
お前は片思いに縋って、
相手の気持ちを聞くことを
恐れているだけじゃないか。
そんな奴と一緒にされたくない。」
エルヴィンの腕を掴む手が緩む。
それと同時に、アンに腕を掴まれた。
「ミケさん。
話、聞いてくれますか……?」
アンの不安気な声を聞き、
自然と身体が強張る。
「お前に選択肢を与えるよ。
またお前がアンを突き離すなら、
俺はアンとこの続きをする。
お前がアンと話す気なら、
俺はこのまま一人で部屋に戻ろう。」
「……答えるまでもないな。」
ミケはそれだけ言うとアンの手を握り、
自分の部屋に向かって廊下を歩き出した。