第7章 “憧れの人”
「……私、ちょっと用事を思い出しました。」
「そうだろうな。
多分今彼は部屋にいるよ。」
エルヴィンにそう言われ、
思わず目を丸くする。
「大丈夫だ。
正直に話せば、それで伝わる。」
優しく肩を叩いてくれる
エルヴィンの手の体温が、
自分の気持ちを
後押ししてくれているように感じた。
「……団長、どこまで分かっていたんですか?」
「さぁ。どうだろう。
だが、“団長”だからな。
それなりの洞察力はあるつもりだ。」
冗談めかして曖昧に答えるエルヴィンを見て、
小さく笑みがこぼれる。
エルヴィンが私にとって
“憧れの人”であることを、
ここで改めて確信した。
「ありがとうございます。
行ってきます。」
エルヴィンの部屋のドアを閉め、
ミケの部屋へ急いだ。