第4章 自然と惹き寄せられる
「……そんな簡単に兵団の料理人に
なれると思うなよって思った?」
心配そうに顔を覗き込まれ、
「いや、持って来て良かったなぁって思った。
ちなみに兵団の料理人になる試験、
今月末にあるからね?」
そう言った途端、
エマの表情から色がなくなり、
喜怒哀楽の激しさが面白くて、
再び顔が綻んでしまう。
「……ど、どうしよう……
リヴァイさんの前で
あんな啖呵切ったものの、全く自信ない……」
「エマは結構本読んでるみたいだし、
語学力はあるってことでしょ?
取り敢えず、他の知識をあと数週間で
一気に詰め込めばなんとかなるよ。」
「本当に……?
いや、でもただ何も考えず
本読んでるだけだし、知識自体は」
「大丈夫。私も手伝うから。
その代わり私が勉強教えに来るときは、
路地の手前まで迎えに来てよね?」
そう言った直後、
エマは再び明るい表情に切り替わった。