第4章 炎と風
「エルザ!」
「グレイ!ヴィナ!ナツとルーシィは一緒じゃないのか!」
「二手に分かれた。つか、それどころじゃねぇ!アイゼンバルトの本当の標的はこの先の街だ!」
「何?!」
「じーさんどもの定例会の会場、奴等はそこでララバイを使う気なんだ!!」
「そういうことか。」
エルザは胸倉をつかんだ奴を睨んだ。その顔は誰もが脅えるほど恐ろしい。
「しかし、今この駅には魔風壁が…」
「あぁ、さっき見てきた。おかげでヴィナの手はぼろぼろ。無理やり出ようとすればミンチになるぜ。」
グレイは私の傷ついた方の手を掴みエルザに見せた。
怒られると思ったのに、エルザはただそれをじっと見ていた。よく見ると、右肘を押さえている。
「経験済みだ。」
「エルザ、その腕…」
「なんともないさ。しかし、こうしている間にもエリゴールはマスター達のところへ近づいていると言うのに…そういえば、アイゼンバルトの中にカゲと呼ばれる奴がいたはずだ。たしか奴はたった一人でララバイの封印を解除した。」
「ディスぺラー…」
「解除魔道士じゃな。それなら魔風壁も解除できるやもしれぬ。」
「探すぞ。カゲを捕まえるんだ!」