第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
あれから、ニアは度々シモンの元に来ていた
主にシモンがヤケを起こしてフィールドに出るのを抑える、というのを頼まれていたからだ
勿論これはカミナに近しい数名で代わる代わる行っていたが、最も効果があったのはニアであった
というのも、彼女がいるとシモンは何故か今の自分の苛立ちやペースを崩されてしまい、フィールドには行かない事が多かったからだ
一応、シモンはその度に突っぱねているのだが、同時に何か悪い気がしてしまう
だから今―
「お話しませんか?」
―などと言われるとフィールドに出るのを躊躇ってしまう
結局、シモンは簡素なベッドに腰掛ける羽目となるのであった
「で、今日は何なんだよ」
思わず口悪く言葉が出てしまう
と言ってもニアにとっては出会ってから大体こんな対応だったので余り気になっていないようだが
「…一度、聞いてみたかったんです。どうしてシモンは、一人で行こうとしてたのか」
質問の意図はシモンにはすぐに読めた
要はヤケになった理由が知りたいと
そして、それに対する答えは一つしかなかった
「アニキの仇を取る為だ」
「では―」
答えを聞いたニアは次の質問を口にする
「―仇を取ったら、どうするんですか?」
「え?」
シモンは呆気に取られた
糾弾するつもりか、とも訝しんだが彼女の表情はあくまで疑問を投げ掛ける人のそれであり、故にシモンは答えに詰まってしまった