第22章 第31層～第40層 その4 "Twin×Twin?"

そうして暫く歩いた後―
ダンジョンの出口らしき光が彼女等に射し込んだ
遺跡という閉塞された状況から漸く解放される､という一抹の安心感
しかしそれは､不意に現れた別の光が遮った

魔法陣のようなものが正面に現れる
しかし状況から鑑みて明らかに凶兆だ

そしてその凶兆を具現化させるかのように魔法陣から爪が現れる
開け放った扉から出るように"それ"が姿を見せる
明らかに人ではない青い体躯､歪に生えた足に三対の羽根――まさに悪魔というようなそれが目の前に顕現した

｢どうやら､倒さなければ通してくれないようだね｣

｢上等―｣

｢ええ､行きましょう兄さん､ベアトリス｣

そうして三人が一気に駆け出す
始めに敵に辿り着いたのはベアトリス
単純なスピードはこの中の誰よりも速い
敵の爪を掻い潜り､懐に潜り込む―そのまま､刺突と斬撃を織り混ぜて敵を跳ね上げる

それを狙ったかのように跳躍していたカイ
既に構えた巨大な剣を､敵目掛けて―振るう
重厚､しかし速い一撃
後ろにいる筈のクリスとリアナですら感じる風圧と斬撃が敵を吹き飛ばした

地上へ吹き飛ぶ敵
しかし､体勢を直す前にもう一人―ケイが敵の懐に入り込み――斬る

斬る､斬る､斬る､斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る――

その様相はさながら烈火
流麗たる剛が敵を切り刻んでいた

そんな三人の連携を､クリスとリアナは見ていた
二人が入る隙間がないような巧みな連撃

｢――リアナ､来るよ｣

｢分かってるっつの｣

だが､何もしない訳にもいかなかった
クリスとリアナの二人は自分達の後ろから迫る気配に気付き､構えた
瞬間二人は左右に跳躍で別れる
その場には､もう一体の悪魔がいた