第22章 第31層~第40層 その4 "Twin×Twin?"
突如現れたに等しい人物にクリスとリアナは驚きを隠せない
だが、二人への助けはまだ続いた
「たあぁぁぁぁっ!!」
敵の後ろから更に飛び上がる人物
声から判断して、今度は女性だ
彼女の跳躍に合わせて跳ねる結われた金の髪
手には剣―そのまま彼女は敵の腕に向けて、刺突
急激に別の力のベクトルを加えられた敵の腕は、関節が外れたかのように力を無くし、地面へ落ちる
「螢!!」
空中で金髪の女性が叫ぶ
そこで更に飛び上がる影
手にはレア物だろうか、赤い剣が握られている
流麗―長い黒髪をなびかせた姿から新たな人物は敵の頭を後ろからかち割るように叩き斬った
四散する敵、クリスとリアナはただただ呆然としているだけだった
「二人共大丈夫かい?」
最初に割り込んだ人―男がクリスとリアナの方へ向く
軍服のような服を着込んだ長身の男は柔和な表情を浮かべていた
所謂、甘いマスク―二人が僅かに息を飲んだと同時に、彼の後ろから更に後から来た二人の女性が現れた
「むしろ気を付けるのはこれからですよ。この人は何でもないみたいな顔して、すぐ女の人を引き寄せるんですから」
「それは誤解だな。今みたいに命が懸かった状態に男女は関係ない」
「その割りにはこの人生で随分と言い寄られて来たようですがねぇ」
「ベアトリスの言う通りね、兄さん」
「全く……何で僕なんかを…」
黒髪の少女が更に会話に加わり、三人となった会話にクリスとリアナは入れなかった
それ程までに彼等の流れは自然だった
ただ取り敢えず―
「えと…助けてくれて、ありがとうございました」
―二人は彼等に礼を言うことにした