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SAOGs

第21章 第31層~第40層 その3 "喧嘩花火"


辺りが暗くなり、一層の危険を感じさせる
こうなると出現するモンスターや行動パターンが変わる
だからジンは、わざと自分に一呼吸を置かせる
こうする事で闇の中へ入る準備が整う
だが、今ばかりはそれが崩された

「――っ!!」

殺気を感じて、後退するように跳躍
直後、そこに何かが降ってきた

「コイツは…」

狼―
しかもいつぞや狙ったものよりも大きい
だがこの敵、息も絶え絶えで逃げ出そうというようにも見える

世の中の、所謂一般論ではこのような死に際こそ爆発力がある
ゲームだからといってそれを発揮しない訳ではない
急に飛びかかる狼―だが、ジンは冷静さを崩してはいなかった
自らの正面、斜め上から来た敵―その前足を彼は掴み取った
そのまま、相手の勢い任せに後ろに倒れる―当然、左足を相手の腹に支えのように差し込む
勢いのまま手を離す―巴投げだ

投げられた敵は木陰に消える
倒した訳ではないらしい、しかしそれが全てではない
また別の気配を感じた―意識を巡らさなくとも感じられる程大きい
ジンが警戒した先、ゆらりと現れたのは―

「よぉ、また会ったな」

―いつぞやの白面白髪の男だった

また面倒な、とジンは感じつつも同時に簡単に逃げられないだろうとも感じていた

「何の用だ?」

「いや何だ、テメェのお陰でまた獲物を逃がしちまったと思ってな」

「倒してはいない。まだその辺にいる筈だ」

先程巴投げで何処かへ投げ飛ばした奴を狙っているのだろう―
そういう至極真っ当な回答をジンはした
だが、目の前の男が口にしたのはまた別の事だった

「オイオイ勘違いすんな。俺はな、二度も俺の獲物を盗ったテメェに興味が沸いたのさ」
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