第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
二十一層―
中心となる街、オブリエットにて私達を待っていたのは、嫌な情報だった
新たなる敵―罠の登場である
この世界、根本はゲームである
という事は当然罠の類いがある
むしろ、今まで何故出なかったのかというくらいだ
製作者である藤井水蓮氏がゲーム作成時から、この事を決めていたとするなら、この事はまるで「皆も慣れてきたから難易度を上げよう」というような意図も見えなくはない
逆に第一層の時から、罠を含め状態異常等の事柄が稼働していたとしたら…と考えると恐ろしさを覚える
単純に難易度が遥かに上昇していただろう
それを思うと、ある意味配慮のあるものかもしれないが…嫌な配慮だ、思惑を感じさせる
しかしながら今はそれを問い質せはしない
故に、先へ先へと歩みを進める他無かった
幸いにも私達が罠にかかるという事は一度もなかったのだが、ネリーによれば数種類の罠が確認され、それらによって既に死者が出ているとの事だ
確認された罠
一つ目―逃げられない場所で、回復や逃走の為のアイテムが封じられるもの
そこに現れた敵を倒せば脱出は可能らしい
二つ目―強制的に状態異常にさせられるもの
これも同じように出現した敵を倒せば脱出可能
三つ目―宝箱と見せかけた敵、所謂ミミックという奴だ
これもミミックを倒せば問題はない
だが四つ目、これが最も危険なものだった
敵は出現しない―だが、物理的な逃走と道具が封じられた状態で壁や天井が迫り、最後は潰されて死亡するというもの
外からの解除も出来ず、その罠が用意された部屋に入ったプレイヤーは確実に死亡する
壁一枚―向こう側の仲間を救えなかったという例を、このタイプでよく耳にするようになった