第7章 第1層~第10層 その6 "Once More"
矢のダメージに少し悶える顎にシンジ先輩が、脇から斬りかかる
更に悶える間にシンジ先輩はエリーの隣へ、エリーはチャクラムを回収した
しかしまだまだボスは元気だ
両手剣男も鞭をいなす程度しか行動していない
「キョウヤ!!」
ややあってシンジ先輩がボスの向こうにいる部長に叫んだ
「お前とケンで次のエリアへの道と誘導やっとけ!こっちはこの面子で何とかする!」
この言葉の意味―先の部隊の様な囮をやろうという事
最も危険だが、先に道が見つかれば楽…かもしれない―全てはやらなくては分からない
「シンジ…分かってるな?」
「当然だ!!」
一瞬の問答の後、部長はケンタと共に先に向かった
同時に戦っていない部隊も移動し、現状の場所に留まっているのは私、エリー、シンジ先輩そして両手剣男だけになった
「これで良いんだろ?」
外野がいなくなった所でシンジ先輩が先輩が両手剣男に話しかけた
当の両手剣男は鞭をいなした後、ボスの頭よりも高い跳躍から、私達の元に着地―目だけで肯定を訴えた
「…ったくアンタ、いるんだったら最初から出ろって話だ」
シンジ先輩が聞こえるようにボヤく
両手剣男は頭を掻きながら面倒臭そうに口を開いた
「あの人込みの中動けと?それはお前…辛いだろ」
何たる事か、この男"辛い"の二文字で動かなかったというのだ
やはり知り合うテスターにはロクなのはいないらしい
ともかく…今はボスだ
部長達が道を探している間、私達は四人でコイツを抑えなくては…