第3章 --お仕事一日目
『待っててって言われたけど…。』
通り過ぎる皆様が、すごくジロジロ見る。居心地は最悪です。もう何も言えません…。
やっぱり角がないと不思議なのかな?…でも、今まで誰も気にしてなかったような…。もしかして、鬼灯さまマジック!?……ありえる、ありえすぎる。今まではずっと鬼灯さまと一緒だったし、それなら角がなかろうが不細工だろうが、優しくしてくれるよね…?
ぎゃーーーーーーー。こんなこと考えるんじゃなかった。もう怖い……。通り過ぎる人達、いや、人はいないんだけど。もう一度恐る恐る盗み見る。
あたしの頭からつま先までを何往復か見ている。これは…品定め、では?
実は亡者で、ここへ逃げてきてるとか思われてたり!?でもでもでも、ここでお香さんと待ち合わせしてるし、あーくそ、でもあたしの精神が持たない…。知らない土地で、知らない人たちに囲まれて、ジロジロ見られて…頼れる人がいない。
あ、そばにって意味でね。それでなければ、お香さんに鬼灯さまに白澤様に、茄子も唐瓜もシロさんも柿助もルリオも桃太郎も。会えたみんな、いい人だったなぁ。
ジョーのように、白くなって終わるかもしれない。あたし。内面からやられて。
そう、自分で自分の殻にこもり、なんとかやり過ごそうと…通り過ぎる人の目を気にしないようにしようと、頑張る。
白「あれ?もしかして、雛ちゃん?」
『いやーーーーーーーーーーーーー!』
白「え、嫌って、なに?」
『え?あれ?は、白澤様…?』
白「そうだよー。雛ちゃんこそこんなところで何してるの?女の子一人だと危ないよ。」
『あ、危ない…?』
白「この辺は、買いにきてる客ばっかりだからねー。」
『買!?』
白「だから、女の子一人だと、ジロジロ見られたりしなかった?」
『あぁ…そうゆう眼だったんですね。』
白「それで、こんなところで、どうしたの?」
『あ、ここで、お香さんに待っててって言われまして…。』
白「なるほど…。お香ちゃんも気づいてたと思うけど…。(それよりも考えることがあったのかな?)」
声をかけてきたのは白澤様の方なのに、何か考え事をしだしたのか、小声でボソボソと喋ってるが、あたしには聞こえない。いや、聞こえてるけど、言葉として聞き取れない。
いやいやいやいや、そんなことよりも。だ!!!