第1章 プロローグ〜始まりはいつもここから〜
既に招待された人々は王宮内に入ってしまったのか、門前には人影は無くひっそりとしていた。
(うそ……門が閉まってる…)
とても女手一つでは動きそうも無い重厚な門が目の前に広がっている。
(何処か、違う入り口があれば…っ)
周りを見渡してみても、全てを拒絶する様な高圧な壁が高く聳える。
(登れる……かな…)
覚悟を決めて、塀に絡まる蔦に手をかけたそのとき……
「おい」
急に聞こえた耳に透き通る声に、私は身体のバランスを崩す。
「あっ……‼︎」
「‼︎」
落ちるっ……と身を屈めた瞬間、背中に温もりを感じた。
(あれ?…痛くない)