第24章 episode 18【ゼノ】〜出会い〜
ルリーは突然の事でとても恥ずかしかったが、怖いと思っていたゼノに褒められて、とても嬉しい気持ちが溢れていた。
(他の誰でもない、ゼノ様に褒めて頂けた……)
ルリーは自分でも知らない内に、笑顔が溢れていた。
その笑顔を見たゼノは無意識の内に、お世辞でも社交辞令でもない、自分の気持ちを初めてルリーに伝えていた。
「……どんな煌びやかなドレスよりも、プリンセスのその笑顔が一番美しいな」
ゼノがそう告げた瞬間、ルリーには、心なしかゼノの瞳も微かに優しく揺れた様な気がした。
今まで見たことがない、そのゼノの柔らかな表情を、ルリーはいつまでもずっと見ていたい気持ちになった。
それは初めて、シュタインとウィスタリアが少しだけ溶け合った瞬間だった。