第24章 episode 18【ゼノ】〜出会い〜
そこは殆ど人の影が無く、シン……と静まり返っていた。
煌々とランプの灯りだけが辺りを照らしている。
ルリーは、余りにも静かすぎる廊下に少し怖さを感じ、そろそろ引き返すべきか考えていた。
(やっぱり部屋まで戻ろう)
ルリーが踵を返し、来た道を戻ろうとした瞬間、低く威厳に満ちた、でも身体に心地よく響く声がした。
「プリンセスか」
ルリーは驚いて、ビクッ、と肩を震わせた。
「驚かせてしまったか、すまない」
その声の主は、執務室から出てきたばかりのゼノ様だった。
ルリーは、ゼノを見た途端に何故かホッとして、ゼノの元へと歩み寄った。
「こちら側へ来たのは初めてだろう?」
「はい……ゼノ様のお部屋だったのですね」
「ああ、執務の大半はここで執り行なっている」
そんな会話をしていると、ゼノが徐にルリーを見つめた。
「今日の為に作らせたドレス、とてもよく似合っている」
ゼノは見つめながら、そうルリーを褒めてくれた。