第20章 episode 16-2【アランEND】〜守りしもの〜
口の中に、じゅわっと芳醇な林檎の甘みが広がる。
「……美味しい…」
そう言うと、一口、また一口と林檎を齧っていった。
アランはそんなをルリー横目で見ながら穏やかな笑みを浮かべていた。
ふとルリーは、アランが何も食べていない事に気付き、林檎を差し出した。
「なんだよ?」
「アランも食べて」
「……腹減ってねー」
「それでも!何か食べないと!」
ルリーの思わぬ剣幕に少したじろいだアランは、はぁー、とため息を付きながらも林檎を受け取った。
「あんま、こっち見んな」
林檎を一口齧りながら、アランはルリーに言った。
「でも、なんとなく見ていたい」
ルリーは何故今自分はこんな大胆なことが言えるのか、自分で自分が解らなかったが、本当に見ていたかったからか、素直に気持ちを告げた。
「なっ……」
それに驚いたのはアランの方で、少し耳が赤くなっているのがわかった。
「アランが無事でよかった」
ルリーは心から思った気持ちを口にした。