第19章 episode 16-1【アランEND】〜守りしもの〜
アランはレオを無視して歩き出す。
「ジルのとこでしょ、止めときなよ。さっきルリーちゃんが行ったらしいから」
「あいつが?」
レオの言葉にアランの足は止まり、聞き返した。
「大方の予想、ジルにシュタイン行きを直談判しにいったんじゃないかな」
「俺は、ルリーとは一緒にシュタインには行かない」
間髪入れずに出たアランの言葉に、暫く沈黙が続いた。
「……あーあ、そんな事言っちゃって。もしルリーちゃんが聞いたら傷つくよー」
「行くなら俺一人でいい。」
「あいつにもし何かあったら……俺は…」
「それを防ぐのが騎士団長様の役目じゃないの?」
「………」
アランは苦しげな表情をしながら顔を背けている。
「何をそんなに恐れてるんだか知らないけどさ、ルリーちゃんの唯一の騎士が一体誰なのか、ちゃんと考えたほうがいいよ」
レオはいつもより厳しい口調でアランに告げた。
「……なんてね。アランがそんな態度なら、俺がルリーちゃんの騎士になっちゃうからね」
そしてアランがレオの挑発に顔を上げたときには、レオはいつもの飄々とした態度で笑っていた。