第2章 episode 1【アラン】〜出会い〜
中庭に着くと、彼は何も言わずに柱に身体を預け、白い花を探す私をじっと見つめていた。
(そんなに見られてると、探しづらいけど…)
そう思ったが、刻一刻と過ぎていく時間に焦りを感じ、白い花探しに没頭していった。
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しばらく探したけれど、白い花はなかなか見つからない。
(ふぅ……そんなに簡単には見つからないよね)
不意に教え子の顔が思い浮かぶ。
見つけられなかったら、あの子はどんな顔をするかな……
一瞬暗く陰ったルリーの横顔が、柱に持たれながら、それをじっと見ていた緋色の瞳に映っていた。