第15章 episode 13-2【ジルとユーリ】〜たかが愛〜
今であっても、そうだ。
部屋に入ってきた時から気づいていた。
ルリーの耳がほんのりと朱に染まっていた事……
それを必死に隠そうとしている事……
その度に焦らされる。
ジルはいっそこのまま思いのままに、ルリーを連れ去る事が出来たらどんなに楽だろうか、と思った。
「プリンセス、少しテンポがずれている様です」
ジルは自分の気持ちとは裏腹に、大人の仮面を付けてルリーを指摘する。
ジルはこの術に長けている為、ルリーにはジルの気持ちは届かない。
たかが愛…翻弄される訳にはいかない……ジルはその後も淡々とレッスンを続けた……