第14章 episode 13-1【ジルとユーリ】〜たかが愛〜
ルリーは恥ずかしがりながら、そっと足を出す。
ユーリは、そんなルリーの目を見つめながら、わざと爪先に口唇で触れた。
ルリーは、ビク……っと肩を震わせて足を戻そうとした。
「ダメだよ……まだ靴を履いていないから」
ユーリは少し悪戯っ子の様な笑みを浮かべながら、今度は足の甲にキスをする。
「………っ、ユーリっ……そんな所…汚いよっ」
ルリーは必死に訴えていた。
「なんで?ルリー様に汚い所なんてないよ」
ユーリはクス……っと目を細めて微笑んだ。
「ルリー様がダンスを上手く踊れる様に、おまじないだよ」
そう囁くと、ようやくダンスシューズを足に履かせてくれた。
「さぁ、行こう」
ユーリは何事も無かった様に、笑った。