第8章 宇宙を駆ける兎[R18]
全てを出し切った直後、少年はドサリとベッドに倒れ込んだ。
相当溜まっていたのだろうか。
量の割にかなり濃い。
私はそんな事を考えながら白濁とした液体を指に絡め取る。
『………』
この少年は生ける死人だ。
しかし、彼の子種はこうして役割を果たそうと懸命に生きている。
この少年は不思議だ。
死をその背に背負っていながら、決してそれに屈しない。
この少年は危険だ。
一度触れたら、きっと死ぬまで逃れることは出来ないだろう。
「お姉さん……名は?」
『…貴女』
私は敢えて聞き返さない。聞いてしまったら、本当に囚われてしまうから。
「そっか…俺ね、」
神威って云うんだ。
少年が告げた瞬間、私は己の心臓が彼に掌握されたことを悟った。
第8章[宇宙を駆ける兎]完