第1章 **訪れは時**
神威『ねぇねぇ、阿伏兎ー。』
阿伏兎『?』
神威『此処に来るのは久しぶりだネ-』
阿伏兎『そうだなぁ団長ォ…』
ここ、吉原桃源郷。
華やかな花魁達が居る所
男にとっては天国の様な場所だ
あの夜王鳳仙、吉原炎上以来
此処は平和で事件も何もなかった
しかし、最近になって変な噂が出回っていると言うのだ…。
神威『そう言えば、最近変な噂が出回ってるらしいネ』
阿伏兎『変な噂?』
神威『黒兎って呼ばれてる奴がどこからか現れて此処一番の太夫になったらしいヨ』
阿伏兎『…黒兎?』
神威『聞いた事あるの?』
阿伏兎『いや…ないな、』
神威がそう言う噂を気にするのは珍しい事だった
正直、この時阿伏兎は嫌な予感がしていた
神威『まぁいいや、それよりお腹が空いたからゴハン食べようヨ』
阿伏兎『団長ォ、さっき食べたばかりだろォ?このスットコドッコイ』
神威『いいじゃんいいじゃん♪』
神威は話をわざとずらすように阿伏兎の前を少しだけ早めに歩いてお座敷へ向かった
阿伏兎『ったく、仕方無い上司だ…』