第9章 ~政宗と幸村~
政宗の話を、無言で聴いて居た幸村は、不意に呟いた。
「・・・・・・政宗殿・・・気付いて居たで御座る・・・政宗殿が、片倉殿を選ぶ事は・・・」
顔を上げた政宗が見たモノ
「・・・政宗殿の易しさに漬け込んだ、某の敗けで御座るよ・・・・・・」
「・・・・・・真田・・・」
其は、優しく微笑む、幸村の姿だった。
「・・・真田・・・・・・すまねぇ・・・本当に、すまない・・・・・・っ、」
「泣かないで下され、政宗殿・・・・・・某は、政宗殿に気持ちを伝えられただけで十分で御座る・・・」
幸村は、其の場に崩れ泣く政宗の頭を撫でながらあやし出した。
政宗は、そんな幸村の易しさに、涙を流しながら謝り続けたー
ー暫く、泣き崩れた政宗をあやして居た幸村が立ち上がり、政宗に別れを告げて、其の場を後にした。
そんな幸村に、政宗は手を振って見送った。
「・・・・・・さて、小十郎の所に帰るか・・・」
政宗は、泣き止んだ眼を擦りながら、小十郎の居る山小屋に歩を進めた。
政宗と別れた幸村は、佐助に抱き付いた。
そんな幸村の態度に佐助は驚いたが、何も言わず無言で抱き締めた・・・